自然界の色の不思議を考える

 今年の6月は梅雨の晴れ間が多く、通勤途中にある田畑の野菜や果物が美しい緑を放っていて眩しいほどです。僕自身も5月に帰省した折、実家の畑にトマトやキュウリ、スイカ、ナス、ピーマンなどの苗を買ってきて植えたので、その生長を今とても楽しみにしているところです。

 さて、僕は中学生のとき、理科の時間に植物の緑色色素であるクロロフィルについて学び、たいへん興味を抱いたことを覚えています。クロロフィルはどなたでもご承知のように、光合成を行う葉緑体の中にある緑の色素(葉緑素)です。当時、祖父からこの葉緑体が身体の健康を支えるために役立っていることをよく耳にしましたが、僕はその本当に意味を理解できずに過ごしていました。クロロフィルをアルコールで抽出し、ペーパークロマトグラフィという簡単な分離手段で分析すると、それが2つの主成分から構成されていることがすぐにわかります。こうした成分が実際に人間の消化管から吸収されると、身体の中でどんな作用をしているのかについては、今日まで多くの研究者によって報告されています。その中で、僕が一番に重視している役割は、コレステロールやダイオキシンなどの有害物質を排除することです。この働きは健康維持において大いに役立つものです。

 

 先日、僕はスーパーマーケットの野菜売り場に行きました。そのとき、緑や黄色、赤、紫、橙などの鮮やかな色がいっせいに目の中に飛び込んできました。いつも不思議に思うのは、こうした野菜の美しい色はいったい何のために存在するのだろうか、ということです。自然界のさまざまな色彩は、生物が生存している上で、当然、大きな役割を担い、生態学的に種族の繁栄あるいは進化において重要な意味をもっているのは確かです。しかし、僕はこの複雑な真の理由が未だにわからないのです。「どうしてトマトは最終的に紫色にならなかったのでしょうか、あるいはどうしてニンジンは黄色にならなかったのでしょうか」。こんな奇妙な疑問が頭をよぎるのです。

 

 僕のこうした「どうして病」という病気は生まれながらのものです。「何故」を発して、その謎解きに挑戦するという性格はどうも直らないようです。ところで、最近、野菜の色については、機能的な解析が数多く行われ、興味深い事実が判明しています。色素には、僕らの健康を維持する観点で多くのパワーが秘められているのです。例えば、カレーの黄色を出すウコンからはクルクミンという肝臓の機能を高める物質が、赤いトマトからはリコピンという悪玉コレステロールの酸化を防ぐ物質が、また橙色のニンジンからは強い抗酸化力をもつベータカロテンが見つかっています。さらに、紫色のブルーベリーやカシスにはフラボノイドの1種で目の健康に役立つアントシアニンがあります。その他にも目の黄斑部を守るルティンや活性酸素を解毒するカプサンチンなどのカロテノイド系色素も大いに注目できる物質でしょう。

 

 僕は今、抗アレルギー性の強いレンコンに秘められた面白い免疫活性について調べていますが、こうした根菜の色自体についても、それがどんな意味をもち、なぜ元気の源になるのかについて、さらに医学的に追究していきたいと強く感じています。

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