毎日猛暑が続き、普段健康な方でさえも、どこか身体に不調を感じているのではないでしょうか。さて、今年の4月から国は「未病対策」を前面に打ち出し、国民が病気にならないようにするにはどうしたらよいか、について真剣に考えるようになりました。多くの人にとって「未病」ということばは、あまり馴染みがないかもしれません。未病ということばは、約2000年も前の中国・後漢時代に記された最古の医学書である「黄帝内経」(こうていだいけい))の中に「聖人は已病(いびょう)を治さず、未病を治す」という文章の中で使用されています。つまり、最高位の医者は、未病という「病気になる手前の状態」の人を健康に戻すというのです。病気になってからでは遅すぎるので、発病する前に手を打つことが大切であることを説いているのです。僕は、この概念が今日とても重要であると考えています。
 さて、医療は今日、治療医学で対応してきたことはご周知の通りです。身体に故障がある部位を薬で改善させたり外科的手術で治すということが一般的でした。痛みがあれば鎮痛剤で対応するのです。実際、西洋医学のほとんどの方法はこうしたやり方に依存しています。一方、治療医学に対して、予防医学とか未病医学ということばが、最近、重視されてきました。予防医学とは、いつまでも健康であり続けるための方法を提供することで、未病状態になることを防止しています。実際、江戸時代の日本では、「腹八分、医者いらず」という考えがありましたが、この概念こそ日常生活の養生の大切さを説いたものであり、この概念こそ予防医学に通じるものであったと思います。また未病医学は、未病状態にいち早く気づいて発病させないように、健康に戻すための方法を提供することと考えられています。
  僕は、こうした予防医学あるいは未病医学において重要なことは、どなたでも簡単に取り入れることができ、副作用がなく安価で安全な方法を提供することだと思っています。こうした条件を満たす方法として、僕が重視しているのが、食事療法や音楽療法なのです。この観点で、現在、その重要性を唱えるとともに、その啓蒙にも大いに力を注いでいるところです。
  ところで、この夏は連日うだるような暑さで、多くの人はだるいとか食欲がないとか、つまり夏バテを感じていると思います。多くの夏バテの症状は病気とはいえませんが、健康でもない未病の状態とも考えられます。一般的には、よく眠れない、身体が冷える、食物が消化されない、むくみが出やすい、肌が乾燥する、肩こりが続く、などの症状が続いていれば、未病状態にあると考えられます。こうした場合には、そのままにせず、運動不足がないか、偏った食事をしていないか、あるいは生活リズムが乱れていないか、などを見直すことが未病を克服する上できわめて肝要であると考えています。加えて、自律神経の中でも昼間作動する交感神経が過剰に優位に働きすぎていないだろうか、を自己点検してみることも非常に大切でしょう。
  直接、聴覚神経を刺激することによって交感神経にブレーキをかける僕の「副交感神経刺激音楽療法」は、とてもシンプルな方法です。また、身体を守る免疫力を高める素材を日々食事の中で摂取することも簡単な方法です。この猛暑を元気に乗り切るために、こうした簡単で安価な未病克服法を是非取り入れてみませんか。そんなことをそっと思う一日でした。




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