蓮がプレゼントしてくれた真心に心から感謝

 僕がはじめて蓮の生命力を知ったのは、中学1年生のときです。当時の国語の教科書に、大賀一郎博士が千葉市の落合遺跡で今から2000年も前の弥生時代後期のものと推定された蓮の実を発見し、それを発芽させることに成功したことが記述されていたのです。この蓮は一般的に「大賀ハス」と呼ばれ、現在、全国あちこちで栽培されているのはご承知の通りです。その他にも、中尊寺の金色堂須弥壇から発見された約800年も前の蓮の実が、同じように発芽したことは有名なお話です。当時僕は、蓮の実がこれほど長い長いあいだ、なぜ生きられたのかについて不思議でなりませんでした。

美しい白い蓮の花(蓮華).jpg

 蓮といえば蓮根をすぐに思い起こしますが、蓮には蓮根のほか、葉や種子、花、芽、茎などさまざまな部分があり、そのどれもが、医学的に大切な薬効をもっていることが最近わかってきました。ところで、昔から蓮の花は清少納言の枕草子にも「花は仏に奉り、実は数珠につらぬきーー」と描かれていますが、蓮の花は本当に優しさと清純さに満ちています。見ていると、心が本当に平和になります。また、蓮の花は蓮華(レンゲ)とも呼ばれ、お釈迦様が生まれたときに、この蓮華の上で第一声を揚げられたとも言われています。ですから、仏像は蓮華をかたどった台座にお座りになっていますし、厨子の扉の内側には蓮華の彫刻が施されてもいます。よく用いることばに「一蓮托生」がありますが、このことばの語源は、死後の極楽浄土に往生したとき、同じ蓮華の上に生まれ変わって身を託すということにあるようです。蓮という植物はなんてすごい生きものなのでしょう。

 
祇園祭・山鉾の巡行.jpg

 さて、僕は先日、京都の祇園祭を生まれてはじめて見る機会に恵まれました。今から千百余年も昔に、疫病が流行して多くの方が命を落とした際、鉾をたてて祭事を営むとともに神輿をかついで祈祷によって疫神の祟りをはらおうとしたことが、祇園祭の起源とのことでした。今年の山鉾の巡行数は全部で32基で、炎天下の都大路に、豪華絢爛の絵巻を繰り広げていました。京都の古き伝統的な神事に直接触れることができ、嬉しさと喜びでいっぱいでした。出発点では、現市長がお奉行様になって、山鉾がくじ順通りの巡行であるかを確認する「くじ改め」という儀式がありましたが、心が和むひとときでした。

 
心を清めてくれた三千院の苔庭.jpg

 このような貴重な機会を与えてくださったのは、京都で昔から料亭を営む老舗の「和久傳」の大女将・桑村綾さんでした。日本の四季折々の旬な素材を用いて、季節の妙味を込めた多くの品々を率先して開発され、世に出されています。この中の和菓子の一つに「西湖」(せいこ)という「れんこん菓子」があります。この和菓子こそ、僕と和久傳さんを結びつけたメディエータと強く感じるのです。というのは、僕がおよそ15年前から、花粉症や気管支喘息などのアレルギーを改善させる野菜について研究し、その中で一番抗アレルギー性を示してくれた野菜が蓮根であったからです。そして、この研究の成果は、幸にも多くのメディアに取り上げられ、現在は種々の蓮根サプリとして日本アレルギー応用研究所から開発されているのです。

 

 古代より尊重されてきた蓮が今回僕にくれたものは、和久傳さんからの真心でした。この真心に心から感謝しつつ、今僕は、蓮がもっているさまざまな不思議な力を科学的に解明しながら、21世紀の未病克服に蓮のちからを役立てていこうと思っています。

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