花粉症を撃退するチームの結成を喜ぶ

 僕は今から約19年前に、花粉症という植物の花粉によって生じるアレルギー症について真剣に憂慮し、今日まで、これを薬に頼らない簡単な方法を見出す研究に専念してきました。現在は絶版になってしまいましたが、当時、「こうして治す花粉症」というタイトルの本を永岡書店から世に出す機会に恵まれ、それまであまり知られていなかった花粉症を、世の中に広く知ってもらうことができました。この本の出版をきっかけに、テレビやラジオでも花粉症の番組が企画されると、よく出演を依頼されたものでした。

 花粉はご承知のように、植物の雄の生殖細胞であり、これが異物として目や鼻から人間の体内に侵入すると、あの不快なクシャミや鼻づまり、あるいは鼻水や目のかゆみが生じてくるものです。こうした花粉による不快なアレルギー性の症状が、いわゆる花粉症であり、特にスギやヒノキ、あるいはカモガヤやヨモギ、ブタクサなどの花粉が原因になっています。歴史の紐を解いてみると、今からおよそ180年以上も前に、イギリスで牧草に用いられる枯れ草を扱う農夫にあいだに、そのような不快な症状が現れ、大きな問題になっていました。この不快な現象は「枯れ草」によって発生するので、それは「枯れ草熱」、つまり、英語では「ヘイフィバー」と呼ばれていたのです。これは今日、花粉症そのものとして理解されています。

 

 さて、植物の花粉によって生じる不快なアレルギーの症状は、人間の免疫システムによって調節されています。当時、僕はこの免疫システムの中でどこに着目すれば、過敏なアレルギー反応が正常の反応に戻るのかについて、深く考えていました。その結果、アレルギー症状を誘起する人間の抗体の一種であるIgEという蛋白質を抑制する方法と、不快な症状を引き起こすヒスタミンの放出を抑える方法を同時に見出すことができれば、現代病と呼ばれている花粉症を著しく減少させることができるのではないか、と推測するに至ったのです。そして、身近な食材に注目し、特に日常摂取する野菜やお茶、あるいはハーブなどについて、花粉症の学生の協力を得ながら、またマウスなど実験動物を用いながら、それらの抗アレルギー性の現象を免疫学的に追究してきました。

 

 その研究の結果、幸いなことに、また驚いたことに、レンコンにもっとも強い抗アレルギー性が見出されたのです。当時、抗アレルギー性野菜として知られていたシソ以上に、レンコンにはアレルギー抗体であるIgEを抑える活性とともに、ヒスタミンを放出する肥満細胞という白血球を安定化させる活性が備わっていました。この発見をもとに、レンコンの抗アレルギー性が注目され、広く雑誌やテレビなどで紹介されるようになったのです。さらに、レンコンに有胞子乳酸菌を加えた配合物が、その抗アレルギー性をいっそう増強させることも判明し、その成果によって特許を取得することもできました。

 

 ところで、先日、食品の安全性と機能性の情報を一挙に公開するイベントが東京ビッグサイトで開催されました。ここでは、乳酸菌レンコンを添加した新しい食品が紹介され、特にさまざまなFD食品やヨーグルトあるいはチーズケーキ、カプセル化サプリなどは大いに注目されました。こうした機能性の食品は、今後、薬に依存するのではなく、食べながら花粉症を撃退したいという強い願いの中で、21世紀型の新たな食事療法に役立つ食材として認知され、広く普及していくものと僕は期待しています。こうした機能性食品を開発して下さった皆さんの強い心構えに感動すると同時に、近い将来、有効な食事療法によって安全な形で花粉症が日本から消えていくことを強く願う1日でした。

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