4月を迎えて考えること

 先週から僕が一番気になっていることは、昨年、南国に帰って行ったツバメが無事にまた戻ってきてくれるかでした。毎日の通勤途中で、空に目を向けてツバメの飛翔を観察していましたが、3月28日に、今年はじめてツバメを目撃することができ、心が躍りました。良かったという安堵感がある一方で、実は悲しい気持ちも襲ってきたのです。というのは、せっかく無事に帰ってきても、昨年と同じ環境はこの半年で失われていて、果たして同じようにツバメが暮らせるかがわからないからです。フィリピンやボルネオから何千キロも懸命に羽ばたいて帰ってきた場所が、もう生息不可能な環境に変わっているのですから、ツバメの気持ちは悲しみでいっぱいであろうと思います。田畑は宅地化され、雑木林は伐採されて工場になっていたりするのです。生きものが生息できる条件は、衣食住が安心してできることですが、今日ある環境には、田畑や雑木林がなくなり、ツバメの餌になる昆虫が減少していること、そしてコンクリート化で土が少なく、巣材がなくなっていること、などの理由で、ツバメは生息できないのです。本当に残念で悲しいことです。

 このような環境の悪化で、ツバメはまた新たな住める場所を求めて、郊外へとさらに移動していくので、市街地ではほとんど見られなくなってしまいました。でも、きっとたくましく命のある限り、子孫を残すために懸命に生き続けてくれると信じたいと思います。

 

 さて、今日は4月1日です。全国のあちこちで入社式や入学式が催されていました。人生の中で大きな節目に当たるこうした行事をみるにつけ、僕も新鮮な気持ちになり、嬉しく、とても心が弾みます。将来がいっぱいある若人は、大きな夢と希望を胸に、新たな人生を謙虚に歩み、精神的に大きく成長してほしいと願っています。そして、懸命に生きているツバメのように、強くたくましく挑戦してほしいと思っています。

 

 今週は僕の大学も在校生のガイダンスがあり、いろいろなお話をしなければなりません。この時期は毎年、今年は何を語れば良いのかを悩みますが、これも僕自身の心のリセットに通じるので、真剣に考えてお話しています。在校生へのメッセージの中で僕がいつも伝えたいのは、中途半端は敗因になること、あのときやっておいて良かったといえる生活を日々心がけること、の2点です。今年もこの内容を伝えて、悔いのない学生生活を送り、心豊かな医療人になるという初志を貫徹してほしいことを厚く語ろうと考えています。

 

 春はいっせいにすべての命の時計が動きだし、大地は生命の息吹であふれています。ソメイヨシノの満開も近く、嬉しい毎日が続きます。僕も心新たに新年度を迎え、ポジティブに挑戦するとともに、精神は「親」という字が示すように、「木に立って見る」ような寛大な状態でありたいと思っています。

 

 今日は若者の明日に期待を込めて、健闘と大きな発展を願う1日でした。

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