地球の温暖化は今や全世界の人々ばかりでなく、すべての動植物にとって大きな問題になっています。身近な現象として、最近、僕には心配になっていることがあります。 それは、今まで観察されなかった昆虫が、普通に見られるようになったことです。例えば、標高約1500メートルの草原で、昔までは紀伊半島以南の南方地域に分布していたチョウであったツマグロヒョウモンが飛翔していたり、都内にある公園ではムラサキツバメというやはり南方系の小型のシジミチョウが見られるのです。
  その一方で、従来分布していたはずのミドリヒョウモンやウラギンヒョウモン、あるいはギンボシヒョウモンといった高原のタテハチョウ類があまり観察できなくなってきました。彼らも地球の温暖化で、生息地域を北へと拡大しているのでしょうか。本当に気がかりなことです。さらに、昔は普通種であったコミスジチョウやツバメシジミ、あるいはサカハチチョウ、イチモンジチョウ、アカタテハなどがきわめて減少しているのです。
   さて、先日、エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラムの首脳会議がイタリアで開催され、気候変動に関する首脳宣言が発表されていました。この宣言の中では、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前の水準から2度以内に抑えるという目標が設定されていました。この2度以内という温度設定には、大きな意味があるようです。この2度を超えて、もし地球温暖化が進行すると、台風や集中豪雨、熱波などによる自然災害が増加したり、地球本来の生態系が極端に破壊され、人類の暮らしに深刻な影響がもたらされるというのです。この目標を可能な限り実現させるためには、大気中の温室効果ガス濃度をとにかく減少させることが必須になってきます。本当に世界の国々がこの目標を達成できるのでしょうか。僕は、この目標を真に地球人として達成するためには、発展途上国とか先進国という区別なしに、共通の認識が必要と考えています。
   僕が考えるその共通認識とは、二酸化炭素を中心にした温室効果ガスを国境を越えて空気中に放出することは、地球人が生きていく上で必要な地球環境を根底から破滅へと導いてしまうという認識です。こうなれば、先進国あるいは発展途上国を問わず、すべての人々の生存が脅かされることになってきます。したがって、先進国がなさねばならないこと、そして発展途上国がなさねばならないことを明確化し、それを国家は早急に実行に移すことが肝要になります。温暖化の原因は、先進国の開発による自然破壊と工業化にあることは自明のことであり、経済成長が主たる原因になっています。この観点では、先進国はいかに自然破壊や工業化にともなうことなく、発展ができるかを研究し、得られた知見や技術を発展途上国に提供しなければなりません。
   環境と経済とがうまく両立できるかは、僕にはまだわかりません。しかし、先進国は、二酸化炭素を排出することなく、太陽や風などの無限のエネルギーをうまく活用できる太陽光発電や風力発電などの先進技術を手にすることができました。各国が、地球環境維持のための行動に、国家予算の多くを当ててほしいといつも思っています。こうした省エネ技術の普及によって、もし地球環境が守られるのであれば、人類の英知は真に素晴らしいものなのです。
   これまで、大気中の二酸化炭素は約0.03%でした。これが植物の光合成によって同化されると、ブドウ糖などの有機物が生まれ植物体を構成していきます。この植物が動物などの消費者に食べられると、細胞内のミトコンドリアで内呼吸が行われ、ブドウ糖は活動エネルギーに変換されます。この過程で、二酸化炭素が放出されてきます。一方、動物や植物が命果てると、遺体は土壌中の微生物によって分解されて二酸化炭素が生じます。このサイクルが本来の二酸化炭素の流れでした。ここに、人類の経済活動で人為的に放出される二酸化炭素が加わってくるのです。僕は、自然な考えとして、地球を守るためにはこの物質循環がキーポイントであり、二酸化炭素を効率的に吸収固定する植物の開発と、二酸化炭素を人為的装置で吸収する技術開発、そして二酸化炭素をできる限り排出しない技術開発の3つが急務であると考えています。
   僕の大学にある研究室には、閉鎖系で僕が呼吸で放出した二酸化炭素を吸収し、僕が吸う酸素を提供してくれる多肉植物を育てています。僕が呼気で放出した二酸化炭素は生活空間にある植物で吸収してもらい、窓から外界へは出さないという気持ちで、こうした植物をおいています。そんな小さな心がけですが、僕にとっては身近にできる温暖化抑制への行動なのです。今日は、地球温暖化抑制について、何が意味をもつのかを真剣に考える1日でした。
 



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