お盆の季節に思うこと

  8月を迎えたというのに、日本は晴れの日が少なく、連日、大雨の自然災害が報じられています。急激な地球規模の環境変化はいったい人類にどんな被害をもたらすのでしょうか。本当に心配な気候変化です。先日、僕はお盆で実家の松本に帰省しましたが、埼玉から松本に戻る帰路の周囲に広がる田んぼの稲の発育状態を観察しました。残念なことに、昨年と比較しても、稲穂の生育は悪いなと感じました。明らかに日照不足なのです。

  さて、実家に戻り、今度は嬉しいことに、家の木々には、毎年繰り広げられているセミの合唱がうるさいほどに聞こえてきました。ミンミンゼミやアブラゼミが家の庭で何十年、いや何百年と生存を続けてきたのです。いのちが無事に育ち、そのいのちが次の世代につながっていく事実が僕にはとても嬉しく感じられるのです。ご先祖様が僕と感じように感じ、同じように夏の風物詩としてセミの合唱に感動していたんだなと思うと、こうした環境をいつまでも維持していかなければならないと改めて考えるのです。庭には、6月下旬に羽化したホシミスジチョウの雌雄がまだ生きていて、優しく目の前を飛んでいました。このチョウの幼虫はシモツケやコデマリを食草としており、庭に植えたシモツケに産卵して、来年も美しい姿を見せてほしいと願うばかりでした。

 

  ところで、我が家のお盆の過ごし方は毎年同じです。お盆は、日本の各地で行われていますが、その内容や風習は地方によってさまざまであるようです。6世紀のなかばに、仏教が日本に伝来して、7世紀初期には、宮廷で「盂蘭盆」の斎絵が営まれていました。その後、民間の人々もご先祖様をはじめ、すべての亡き人の精霊を偲び、供養するようになったと伝えられています。現在のお盆は、仏教と日本在来の土俗信仰が習合して形成されたともいわれています。まずお盆の前までに、お墓や仏壇を掃除することから始まります。そして、用意した盆提灯や野菜や果物を仏前におき、ご先祖様を迎える準備をします。13日の夕方、お墓で迎え火を焚き、家までご案内するのです。

 

  14日は早朝から、菩提寺のご住職がおいでになり、ご先祖様の回向のお経を上げて頂きました。また家族そろってご先祖様の御霊に祈りを捧げ、心の平安と健康を祈りました。お盆の棚経といって、ご住職の読経の際は、家族はそろって仏壇の前に正座して、一緒に合掌し、礼拝するのも習わしになっています。そして、16日には精霊送りになります。夕方、戸口で送り火を焚いて、ご先祖様の霊をお送りし、お墓にまでお送りするのです。毎年繰り広げられるお盆の風習ですが、僕はいつも心が洗われています。

 

  一方で8月のお盆の頃になると、4月上旬に南国からやってきて子育てを終えたツバメ達が、親と子供がそろって電線に集合し、再び南国に飛翔していく準備をしている光景をよくみかけます。今年育った子ツバメの数は昨年よりもかなり少なかったようです。餌の昆虫が減少し、またツバメの巣材である土がなくなったことが減少の大きな理由と考えています。今年育ったツバメが無事に南国まで帰ることができ、再び来年も日本に戻ってきてくれることをお祈りするのみでした。

 

  このお盆を過ぎれば、信州には秋風が吹き始めます。オミナエシの可憐な黄色の花が咲き誇り、ワレモコウやヤナギランが高原に目立つようになります。アサギマダラという美しいチョウが飛び交うようになると、秋の足音がそこまで近づいていることを肌で感じるのです。自然の移り変わりは、僕の心に優しく時間の流れを感じさせています。

 

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