私は、多くの身近な食材の中で、今日の生活習慣病を改善する機能性を秘めた素材を長い間探してきました。なぜなら、こうした機能性をもつ食材を見出すことができれば、予防医学あるいは未病医学の観点で、日常の食生活の中で簡単に取り入れることができ、まさに医食同源を日々の生活の中で実現できると思ったからでした。
  先日、たいへん嬉しいニュースが飛び込んできました。すでに幾度も記述してきましたが、私たちが発見した抗アレルギー性を発揮する乳酸菌レンコンがアメリカでも特許を取得できたというのです。国内ではすでに特許を取得していたのですが、外国でもその機能性が認知され、特許が得られたのは本当に嬉しいことでした。心から感謝したい気持ちでいっぱいでした。
 さて、レンコンはハスという植物の地下茎です。植物分類学的には、中国あるいはエジプトが原産と言われ、日本には鎌倉時代に渡来したとも伝えられています。沼や池で栽培されており、旬な時期は冬で、水の下にある泥の中から掘り出した地下茎であるレンコンは、実に縁起物であり、お正月やお祝い時にいろいろな料理に使われているのは有名です。ハスの花はとても美しく、清らかな花は心を穏やかに導いてくれます。お釈迦様が座っておられる台座もハスの花であり、この意味でもハスが魂を癒してくれる存在になっています。  
レンコンの主成分はお芋と同じように炭水化物であり、蛋白質やミネラルも種々含まれています。また、ビタミン類の中でも特にビタミンCの含有量は多く、レモンの3分の2くらい存在しているので、旬の頃流行る風邪の予防にはとても役立つ素材になっています。さらに、ビタミンB12も他の野菜以上に含まれているので、貧血を予防したり肝臓のはたらきを助けてくれます。一方、キノコと同じように食物繊維を豊富に含み、消化管のはたらきを活発にしてくれ便秘を改善してくれます。  
ところで、レンコンを切ると、納豆のような細い糸を引くことはよく知られています。これはムチンという糖蛋白質であり、粘膜面を保護してくれる作用があるとともに、滋養強壮の効果もあります。また、切り口が時間とともに黒ずんできますが、これはタンニンによるもので、このタンニンによって消炎・止血作用が発揮されています。よく民間療法で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍あるいは鼻血の際にレンコンの搾り汁が使用されるのは、このタンニン効果をねらっているためです。さらに、中国では、レンコン汁が、膀胱炎による血尿あるいは排尿時の痛みの緩和にも利用されています。  
さて、このようなレンコンに花粉症で代表されるⅠ型アレルギーを抑制する効果のあることを見出したのは、今から10数年も前のことでした。免疫学的に、Ⅰ型アレルギーはIgEという抗体と肥満細胞という白血球が深く関与しています。私は、この抗体ができにくくする食材を探すため、種々の実験を試みていました。この過程で、レンコンエキスにもっともIgEというアレルギー抗体の産生を抑える作用のあることを発見したのでした。その後、実際に花粉症の方に毎日それを摂取してもらったところ、花粉症の症状が軽減され、なかには体質改善がはかられ、アレルギーの症状がなくなった方もおられました。そして、この抗アレルギー性は乳酸菌のようなプロバイオティクス効果をもつ善玉菌を加えると、相乗効果となって抗アレルギー性が効果的に発揮されることを突き止めたのです。  
今、スギ花粉がたくさん飛散しています。これが過ぎるとヒノキの花粉シーズンになります。花粉症のみならずアトピーや気管支ぜんそくなどのアレルギーの症状で苦しむ患者さんの数はますます増加する一途にあります。私はレンコンのような医食同源となる機能性食材によって安全な形でアレルギーの状態を克服してほしいといつも願っています。今日は乳酸菌レンコンの機能性がアメリカでも認知されたことを喜ぶとともに、こうした食材の有用性がもっと広く知られてほしいと強く願う1日でした。




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