4月を迎え、関東地方は春爛漫の心地良い季節の到来です。昨年の8月下旬に南国に飛び立ったツバメ達がようやく狭山にも戻ってきました。長旅の疲れもとれない中、巣作りの場所を一生懸命に探しています。この1週間は、寒暖の差が大きく、餌になる昆虫もあまり出現していないので、飢え死にしてしまうのではないかと本当に心配になります。
 
  一方、大学への通勤途中には、桜の木が多く、どの木も誇らしげに咲いています。春は生きものすべてが、まるで生まれ変わったように、新たに活動しはじめ、命の鼓動が聞こえてくるようです。生きものの息吹を感じると、僕自身も心が踊り、「よし、新年度も意欲的に取り組もう」という気持ちになるものです。また、さわやかな春風に誘われると、クヌギやコナラがはえた雑木林に出かけたくなります。先日も、大学近くの雑木林に行ってみました。目を閉じると、ウグイスの美しい鳴き声に加えて、オオルリの求愛ソングが聞こえてきました。また、春の妖精とも言われるミヤマセセリが姿を見せてくれました。このチョウはよくよく観察していないと、すぐに飛んでいく方向を見失ってしまうほど小さな黒っぽいチョウで、草木が芽吹いてくる春の短い期間しかみることができません。僕は、このチョウを見ると、いつも感動して、命の尊さを考えます。変温動物であるため、ポカポカの日差しを浴びてウオーミングアップできるように、翅をいっぱい広げて枯れ葉の上にとまって静止している光景をよくみかけます。この他、早春しか成虫を見ることができないコツバメという小型のチョウも、桜の花が散るように飛んでいました。
   さて、先日、藤沢市民会館で、湘南アイバンク・チャリティーコンサートと銘打った催しがありました。このコンサートは、日本が誇るハープの演奏家として名高いハープ奏者の松岡みやびさんの企画によって開催されたものであり、僕はゲストとして招かれ、ステージで音楽療法的なハープの効果について、松岡さんと対談しました。実は3月に、松岡さんが奏でるハープ曲をライブで聴き入り、それが人間の生体機能にどう影響するかを調べる実験をおこなっていたのです。その結果は、僕がこれまでモーツアルトの名曲で調べたときに得られた内容とよく類似するものでした。現代社会は不快なストレスが多いため、自律神経の中でもアクティブモードを支配する交感神経が優位に作動しています。このため、アドレナリンが多くなり、この影響で、例えば、血管が収縮して血圧が上昇したり、冷え性になります。また、顆粒球という白血球が増加してくるので、外敵を殺す活性酸素も同時に増えてきます。こうした中で、今日の生活習慣病が増加していると考えられています。したがって、この状態にブレーキをかけることが肝要になりますが、ハープ曲はこの交感神経にブレーキをかけることがだんだんとわかってきたのです。
   コンサートが無事に終了し、藤沢市民会館を去ろうとしたとき、僕の目に亡き父の肖像画が飛び込んできました。何人かの肖像画が正面玄関を入ったホール入り口側の側壁に掲げられており、その中に父の肖像画がありました。本当に驚いたと同時に感動しました。実は、以前、父が松本市長在任中、松本市と藤沢市は姉妹都市になり、父は藤沢市の名誉市民に推挙されていたのでした。
   たまたま藤沢市民会館で開催されたコンサートに招かれ、その場所で偶然にも亡き父の肖像画に出会える機会をもてたことに対して深く感謝するとともに、まるで父が励ましていてくれるように感じた貴重な1日でした。世の中には、偶然なことが必然とも思える場面や状況があるものと不思議に思いました。




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