輝きに満ちた5月の信州を満喫しました

  僕の実家がある信州・松本には、5月の声を聞くと、春がいっせいにやってきます。ヤマザクラやハナミズキが咲き誇り、果樹園ではリンゴとナシの木が美しい白い花を枝いっぱいにつける心地よいシーズンです。周囲の山々は、クヌギやコナラ、カラマツの優しい緑の新芽で覆われ、またカタクリの群落がある東山方面には春の女神と言われるヒメギフチョウが緩やかに美しく飛び交います。自然は本当に生きものの命が燃え上がる息吹に充ち満ちています。今年は、4月17日に雪が降るくらい、天候が不順で寒い日が続きました。そのため、家から眺める北アルプス常念山脈はまだまだ真っ白い雪に覆われていました。

安曇野の広大なわさび畑 菜の花畑を背景にして撮った私(右)と後藤社長(左)

  さて、今年の連休は、日頃からお世話になっている狭山市にあるゴトー養殖研究所の後藤清社長夫妻をお迎えしての安曇野訪問からスタートしました。僕は松本市に隣接する安曇野が大好きで、来客があると必ず訪れます。安曇野と言えば、日本一のわさび田がもっとも有名であり、今回も一緒に訪れました。このわさび田には、年間を通して約12-13℃に水温が保たれる北アルプスの湧水が豊かに湧き出しています。わさび田に向かう道路は県外からの観光客の車で大渋滞でしたが、園内に入ると、その広さで混雑は感じませんでした。何度見ても飽きることのない春の日差しに輝くわさび田は透き通る水の中で美しい緑を放っていました。本当に心が洗われる瞬間で、「あずみ野に緑輝くわさびかな」の感動を覚えました。

 

  わさび田をあとにした私たちは、次に安曇野アートヒルズミュージアムに行きました。今年は、自然をこよなく愛し、心豊かな観察眼で自然をガラスに刻印したエミール・ガレの作品を楽しむことができました。ここは、信濃富士と言われる有明山が間近に迫る北アルプス山麓に位置し、周囲は眩しいほどの黄色を放つ菜の花畑が一面に広がり、たいへん印象的でした。そして、次に碌山美術館を訪問しました。ロダンに学び、のちに碌山と称された日本近代彫刻の先駆け者になった荻原守衛は、多くの素晴らしい作品を残していますが、その中でも重要文化財に指定されている「女」と題した作品は心にいつまでも残るものでした。貴重な碌山の作品が展示されている教会風の碌山館は、つたのからまる建物であり、安曇野の象徴的な存在になっています。安曇野には、僕が中学時代、多大な影響を受けた高山蝶の研究家であり山岳写真家でも著名であった故・田淵行雄先生の記念館のほか、ジャンセン美術館、安曇野ちひろ美術館など、数多くの美術館や博物館があり、現在は、北アルプスを背景に心ゆくまで楽しむことができる地域になっています。

 
45年前にお世話になった川上常男さん(左)と私(右)

  安曇野を満喫した私たちは、実家に戻る途中、松本市里山辺にある藤井谷を訪れました。この山間は、45年以上も前に、私が蝶の採集や研究を行った本当に懐かしい場所です。ここには、当時、127種類もの蝶が棲息していて、東京からも多くの昆虫マニアが採集に来ていたものです。たいへん残念なことに、当時、クロミドリシジミやウラミスジシジミ、あるいはムモンアカシジミなどの希少な蝶がみられた場所は、堰堤によって失われていました。一度自然が失われると、回復はほとんど不可能なものです。帰宅途中、当時、お世話になった川上常男さんのお宅に立ち寄り、偶然にもお会いすることができ、懐かしい話で盛り上がりました。瞬時に45年前の自分にカムバックしていることがよくわかります。至福の瞬間であり、懐かしい思い出が蘇ると同時に、お世話になったことへの感謝の気持ちでいっぱいになり、心から元気でいたことを嬉しく思いました。その晩は我が家で時間の過ぎるのを忘れるくらい、笑いに満ちた歓談が続いていました。

 

  また、この連休中は、昨年からロハス・アマニ農園の開発にお力を頂いている横山尚永さんによってアマニの種まきが行われました。今年は遠くニュージーランドからアマニの種を輸入し、それを蒔いたのです。昨年の栽培試験の結果を踏まえ、2年目の今年は、何とかアマニ栽培を成功させるべく新たに努力を払っていきたいと強く思っています。人々の健康を願い、私たちの挑戦する苦労が必ずや実るように一歩一歩確かな歩みで進めていきたいと考えています。アマニ農園に隣接するコムギ畑では、ヒバリがさえずり、春の1日を肌で感じる嬉しいひとときでもありました。そして、この自然がいつまでもいつまでも維持されることを祈りながら帰宅の途に着いたものです。

 
4月17日に降った雪の後ろに立つ私(左)とアマニを栽培してくださる横山尚永さん(右)

  今年の大型連休は、心から有り難いと感じた時間の流れの中に身をおくことができ、心身をリセットできたように思います。今日は、山、水、土、緑、雪など、輝く自然に心から感謝する1日になりました。

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