チョウのビオトープを考える

  6月も下旬になり、梅雨が本格的になってきました。毎年、九州や四国では、梅雨前線が停滞し、大雨に見舞われ、土砂災害が多発しています。近年の大雨は、熱帯のスコールのように局地的に降り、川はあっという間にその水かさを増し、周辺の住民に生活不安を与えています。地球温暖化の波は確実に襲ってきており、生物の分布も確実に変わりつつあります。ぼくはここ5年間くらい、実家のある長野県全体の昆虫相を観察していますが、特に目立ったこととして、以前は名古屋以南に分布していたチョウであるツマグロヒョウモンやクロコノマチョウ、ムラサキツバメチョウ、あるいはアカボシゴマダラチョウなどが見られるようになったことです。その一方で、従来棲息していた普通種がほとんど見られなくなってしまいました。以前、田んぼの畦を歩いていたり、里山の道ばたを散歩すれば、ヒメシロチョウやコミスジチョウ、あるいはサカハチチョウやイチモンジチョウが普通に観察できたものです。しかし、悲しいことに、こうしたチョウは現在めったに見ることができないのです。

  ところで、ぼくの実家の庭には、周囲の山々からやってきたチョウが産卵できるように、チョウの食草をあちこち植えています。いつかやってきて繁殖してくれたらいいな、と願ってのことです。特に、カラタチ、コクサギ、ユキヤナギ、スゲ、ハギ、シモツケ、種々のスミレ、ウメ、カエデ、イヌサンショウなどに加えて、ウマノスズクサです。ぼくはこうした食草がいつかそれを宿主として食べて育つチョウがやってくることを期待しながら、帰省すると必ず食草を見にいきます。そこに幼虫がいるかを確認するのです。

 

  ここ5年間、必ず見られたホシミスジチョウという種類が、今年もいるのかどうかを知りたく、ぼくはわくわくしながら帰省しました。 ホシミスジチョウ このチョウの食草はシモツケで、今年も赤くて優しい花を咲かせていました。食草の近くを注意深く観察していると、なんと2匹のホシミスジが飛んでいました。今年も無事に我が家の庭で育ってくれたのです。 心が温かくなる瞬間です。 羽化したばかりのとても羽の白黒のコントラストが美しく、またその飛び方も緩やかで、少し羽ばたいては、スーとそのまま前に飛んでいきます。 この独特の飛び方は、ミスジチョウの仲間に特有のものです。しばらく目を奪われ、ぼくは感動していました。その他、ぼくの家の庭のスミレを食草として棲みついたチョウがいます。 メスグロヒョウモンチョウ 昔は郊外の山でしかみたことがありませんが、メスグロヒョウモンが毎年見られるのです。このチョウはその名前のようにメスが黒く、オスはその他のヒョウモンチョウのように黄色で黒い斑点がいくつか見られます。嬉しいことに、このチョウも今年庭で発生していました。

 

 

  信州にはたくさんの種類のチョウが分布しています。身近な田畑が宅地化によってどんどん失われ、従来棲息していたチョウは消えていきました。ぼくは少しでも昔のようにチョウが身近に飛び交う環境を取り戻したく、これからもチョウの食草を庭に植えたいと思っています。ビオトープについては、賛否両論がありますが、ぼくは自然のチョウが生存できるように食草を植えて、少しでも種族の存続に役立つようにしてあげたいと願っています。今日は我が家の庭に棲み着いたチョウに感謝する1日でした。

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